重盛 晴二
2021年 中途入社調理系専門学校を中退後にITエンジニアを志し、独学でアプリ開発のスキルを磨く。19歳のときに、実務未経験でMOSAアーキテクトへ中途入社。Webアプリの開発プロジェクトを中心に参画し、設計・開発・テストと幅広いフェーズを経験する。将来はプロジェクト全体を束ねる責任者を目指す、当社期待のホープ。
調理系専門学校を中退後にITエンジニアを志し、独学でアプリ開発のスキルを磨く。19歳のときに、実務未経験でMOSAアーキテクトへ中途入社。Webアプリの開発プロジェクトを中心に参画し、設計・開発・テストと幅広いフェーズを経験する。将来はプロジェクト全体を束ねる責任者を目指す、当社期待のホープ。
社長の嶋田から声が掛かったのは、入社半年が経過した頃だった。官公庁が発注者となり、複数の自治体で活用される、住民向けスマートシティアプリの開発案件。元請けであるメガベンチャーをはじめ、社内外含め20名程のチームで推進する比較的規模の大きいプロジェクトだ。そこへ主力メンバーとして加わらないかという打診だった。
近年自動運転バスの導入が進む地方都市においては、交通の利便性向上や災害対策に向け、リアルタイムでの情報提供が重要視されている。そのため、街を走るバスの運行状況をはじめ、停留所や避難所といったインフラ施設を閲覧できる「デジタルマップ」を開発したいというのが今回の目的だった。まさに社会課題の解決に直結するWebアプリだ。
プロジェクトの指導直後、早速壁が立ちはだかる。クライアントも初めての試みだけに、大まかな開発概要は決まっていたが機能や仕様の詳細は未定。そのため、マネージャーがクライアントと議論を重ねてニーズを探り、それを基にチームで仕様や機能、技術的要件などを模索する日々が続いた。重盛にとって、要件定義の場は初めて。右も左もわからない中、懸命に議論に食らいつく。話の中で理解できない内容があれば持ち帰って学習。AWSは仮想サーバの構築をゼロから習得した。苦労も多かったがそれ以上に、成長を実感できる毎日が心地よかった。
必死に食らいつく日々を過ごし、気づけば1年が経った。アプリはリリースの目途も立ち、重盛の心にも安堵の光が広がる。…いや、正確に言うと「これで良いのか」という疑念もあった。と言うのも、現状のアプリはバスや施設の位置を表示するのみで、停留所の名前すら表示されない。当初の計画通りではあるが、ユーザビリティに問題があることは明白だった。
時を同じくしてチーム内でも、「このままでは駄目だ」という声が湧き出る。皆、重盛と同じ想いだったのだ。改めて全員で他社の類似サービスを研究し直し、実装すべき機能を洗い出す。現在地からの距離表示、アプリからの施設予約、通知機能…出た意見に対し、重盛は開発に必要なツールや言語をリストアップ。時には技術的な問題が原因で、振り出しに戻ることも多々あった。それでもメンバー間で意見を出し、懸命に解決の糸口を探す。もはや重盛から“新人”の面影は消えていた。
結果としてアプリには、施設名や現在地からの距離をはじめ、避難所に災害区分(どの災害に適した施設かを示すもの)や安全レベルも併記され、大きく生まれ変わった。リリース後、住民からの「街での移動が便利になった」という声に、すべての苦労が報われる。官公庁からの評価も高く、プロジェクト開始から3年経った今も、継続的に保守・運用まで任されている。
入社から2案件目でリリースまで一貫して経験できたことは、重盛にとって大きな自信になった。だがそれ以上に価値があったのは、単に相手の要望に応じるだけでなく、期待を超える大切さを知ったことだ。現在、重盛が目指すエンジニア像は、「所属するプロジェクトを最も理解する人」。それはすなわち、相手にとって真に必要なモノを考え、周囲も巻き込んで実現に導ける人物を指している。常に期待を超える努力をするから、信頼が生まれ、仕事も楽しくなる──そう実感できたからこその、新たな目標だった。