菅原 加甫理
2018年 中途入社大学卒業後、事務職や工場勤務を経験。将来を考え転職活動をする中、IT業界に興味を持ち当社と出会う。入社後は基礎知識・スキル研修と資格取得に励み、その後テスター業務に従事。海外向け大規模開発プロジェクトへの参画を皮切りに、フロントエンドに興味を持つように。現在はフロントエンドのプロジェクトリーダーとして活躍する一方、副業でも様々な開発に挑む。
CHAPTER 01
“初めて”ばかりの
プロジェクト。
「新プロジェクトのPLを任せられないか」――社長の嶋田から新たに打診されたのは、分譲マンションをメインとした不動産物件の顧客管理システムの開発だった。一般ユーザーは資料請求や来場予約などをWeb上のフォームから行なえる一方で、不動産会社側は細かな顧客データを一元管理できるというものだ。
フロントエンド案件を任されることが多い菅原だったが、今回はいつもと様子が違っていた。フロントエンドだけでなく、バックエンドまですべての開発を担う珍しいケース。かつ、バックエンドについては未経験だったアーキテクチャの設計から任されることになったからだ。菅原は嶋田にある条件を提示する。「結果は出します。その代わり、開発方法については任せてください」――そう話す声は、心なしか弾んでいた。
CHAPTER 02
待ちわびたチャンス、
到来。
初めてのことに挑む際、通常ならリスクを最小限にするため“失敗のない無難な方法”を選ぶ人が多いだろう。しかし、菅原は真逆のテーマを自分に課した。それが、「まだ実務で使ったことのない新技術をフル活用してアーキテクチャを組む」といったものだった。
何を隠そう菅原は、社内一のテックマニア。SNSではあらゆる技術メーカーの公式アカウントやエンジニアアカウントをフォロー。社内外のエンジニアと話をする中で、日々最新技術にアンテナを張る。更には、より幅広い技術を身につけるため副業で他社の開発にも参加。最近では翻訳字幕作成システムのPMや、海上業務で使用する天候・運搬貨物・乗組員の勤怠を一元管理するシステムの開発にも取り組む。そうして収集した知識やスキルを動員する実務のチャンスを、社長との約束で自ら創り出したのだ。
CHAPTER 03
トライ、トライ、トライ。
もちろん、安パイを選ばない分苦労も多かった。テーブル構築に新しいフレームワークを採用したものの、構築後にエラーがわかり、すべて書き換えたこともあった。それでも気になる技術はOpenAIで調べ、マッチしそうなものはどんどん試して取り入れる。思うように動かないことも多かったが、はまったときには難しい数式を解き明かしたような爽快感があった。
「もし行き詰まっても、後から挽回すれば良い」と恐れずトライ＆エラーを重ねた結果、プログラミングメンバーが参加する頃には、最新技術を取り入れた美しい設計が完成していた。初回のデモンストレーションを見せたときから、クライアントの反応も上々。あれだけの“実験”を繰り返したにも関わらず、プロジェクト開始から1年半、大きな問題もなく好評のままリリースの日を迎えられた。
CHAPTER 04
技術の寿命。
それでも、「リスクを減らすには、一般化された確実な手法をとる方がいいのではないか」と考える人もいるかもしれない。菅原に言わせれば、答えは「NO」。なぜなら、技術には“寿命”があるからだ。特にＩＴ分野においてはテクノロジーの進化が激しく、1年も経てばトレンドが移り変わる。「現時点のスタンダード」を取り入れたとしても、リリースする頃にはすでに古い技術になっており、その後の運用やメンテナンスに支障が出る可能性がある。だからこそ、菅原はできる限り最新技術にこだわる。それは自分だけでなく、お客様にとってもベストであると知っているからだ。
菅原の次なる目標は、生成ＡＩ関連のプロジェクトに携わること。近い将来、生成AＩがあたり前に溶け込んだ生活が訪れる。その一助を担いたいと話す。彼女のテックへの探求は止まらない。
