内山 尚
2020年3月 中途入社/取締役新卒より長年IT業界に従事。以前いた会社で社長の嶋田と出会った後、複数社でPL・PMの経験を積み、2020年に再び嶋田と働きたいとMOSAアーキテクトへ入社。現在もPL・PMとして現場で活躍する他、新規プロジェクトの獲得やメンバーアサイン、人事、その他経営業務もサポートし、会社を支える。
新卒より長年IT業界に従事。以前いた会社で社長の嶋田と出会った後、複数社でPL・PMの経験を積み、2020年に再び嶋田と働きたいとMOSAアーキテクトへ入社。現在もPL・PMとして現場で活躍する他、新規プロジェクトの獲得やメンバーアサイン、人事、その他経営業務もサポートし、会社を支える。
長いエンジニア人生を振り返ったとき、内山にはどうしても忘れられない経験がある。初めてPMを任され、そして大きな挫折を味わったプロジェクトのことだ。
時は前職時代に遡る。手がけたのは大手不動産会社のサービスサイトで、ユーザーが投資用、事業用など目的や条件に応じて物件を検索でき、営業側では案件管理もできるような複雑な機能を持ち合わせたシステムだった。クライアントへの提案や要件定義から参加し、その後はPMとして各チームへの指示出しや管理、クライアントとの毎週の会議、様々な調整業務を一人でこなす日々。いくつものトラブルを乗り越えリリース目前…というところで、突然糸が切れた。身体が思うように動かない。何が起きているのかわからない。自分でも気づかないうちに、とうに限界を超えていた。何とか納品にこぎつけたものの、仕事への向き合い方を見つめ直したいと、内山は会社を去ることに決めた――。
かつての戦友だった嶋田に連絡を取ったのも、昔の自分を取り戻したいという想いがあったのかもしれない。「一緒に働こう」と声をかけてもらった時は、心からほっとした。嶋田も内山に信頼を寄せ、入社当初から会社運営についての相談をするようになっていた。「社員のマネジメントや人事についても力を貸してくれないか」と嶋田から打診を受けるまでに、時間はかからなかった。
“本当に社員に必要なマネジメント”とは何か。自問自答の中で、数ヶ月前の心と身体が壊れた自分を思い出す。そして、ある決意が生まれる。
「自分と同じような苦しみを、仲間には絶対に経験させたくない」辛い仕事をむやみに頑張らなくていい。楽しんで臨んだほうがパフォーマンスも格段に上がる。そうした環境を創ることこそが、自分の役割なのではないだろうか――過去の挫折から導き出した答えだった。
「一人で悩みを抱えないよう、まずは社員ともっと向き合う必要がある」そう考えた内山は、これまで整備されていなかった評価制度に手を付ける。半年に1度、嶋田と内山の2名で社員全員と面談し、頑張ったことや大変だったことを振り返る機会を設けた。評価をすり合わせるのはもちろん、社員が愚痴を言いやすい空気をつくることで、普段は元気に見えている人が思いもよらないところで悩んでいるとわかることもあった。新入社員は社長や自分より、歳の近い先輩の方が本心を話しやすいかもしれないと、新人ごとに先輩がメンターとしてつく『ブラザー制度』も導入した。
拾い上げた声も放置はしない。内山の持論だが、ストレスには受けていいものと、避けるべきものがある。相性が合わない人とずっと同じチームで働いたり、新しい技術を学びたいのに古い技術案件に参加し続けたりすることは、自信や成長を妨げるストレスだ。そのため、プロジェクトへ参加するメンバーを決める際は、他のメンバーや顧客との相性を検討し、やりたくないプロジェクトへのアサインは可能な限り避ける。愚痴は、単なるわがままではない。心のアラートなのだ。
一方で、新しい役割やプロジェクトに自信がないと悩む社員へは、「できる限りフォローをするから、挑戦してみないか」と背中を押す。それも、あの挫折を感じた案件から学んだことだ。
確かに内山は、一人で抱えすぎて一度は病んだ。それでも振り返ると、要件定義からリリースまですべてを自分で計画し、まとめる経験をできたのは初めてで、あれほど自分の成長を感じられた経験も初めてだった。だから社員にも、能力や興味のある分野を踏まえたうえで、いろんな技術を学び、経験を積むチャンスをつかめるようにしている(もちろん無理をさせない体制は整えたうえで)。可能な範囲でプロジェクトを調整し、時には顧客へ「こんな案件に参加させてほしい」と打診することもある。幸い当社には貪欲な社員が多い。急速に成長する彼らの背中を見ることが、いつしか内山の楽しみになっていた。
仲間が飽きることなく、仕事にずっと熱中できる環境を創る。今の内山にとって、どんな魅力的な開発よりも、やりがいのあるプロジェクトだ。